ジェームズ・フランコとセス・ローゲンが主演して、北朝鮮の金正恩第1書記にインタビューをするテレビ番組司会者が暗殺を実行するパロディー映画「ザ・インタビュー」が描かれ、間もなく公開される予定だったのに、ハッカーからの脅迫を受けて、ソニー・ピクチャーズは公開中止の決断へと追い込まれてしまいました。
その後、ソニーの決定をめぐっては賛否両論でしたが、ついに米国のオバマ大統領まで、一連の事態に記者会見で言及してきましたよ!
ソニーは一企業に過ぎない。それが(今回の脅迫事件では)深刻な損害を被ってしまった。従業員に対しても脅迫による危険が及んだ。このすべての事態に、私は深く同情している。とはいえ、関係する全事実を踏まえた上でも、ソニーは過ちを犯したというのが私の感想だ。
あくまでも北朝鮮政府は一連のハッカーによる脅迫事件への関与を否定してはいるものの、オバマ大統領は、北朝鮮政府の関与を断定し、必ず報復を実施するとの意思表明まで行なった席において、ソニー・ピクチャーズは、物議を醸した映画の公開中止に踏み切るべきではなかったとの見解が公式に明らかにされた形ですね。
もし何者かが風刺映画の公開を脅迫してとどめることができたとの前例が築かれるとしよう。その後にどのような事態が生じ得るのかを考えてみてほしい。次は気に入らないドキュメンタリー番組か、はたまた気に食わないニュースの報道が(脅迫の)対象となってしまいかねない。
そんなふうに語って、オバマ大統領は、まず公開中止を決める前にソニーには自分に相談をかけてほしかったとまでこぼしています。ソニー・ピクチャーズが、脅迫行為と突然の映画公開中止で受けた損害に対しては、米国政府によって補てんされるといった救済措置が取られるわけでもなんでもないでしょうけど、一国のトップが、ドキュメンタリーや風刺映画、ニュース番組の自主規制や報道自粛を行なったりすべきではないと説いて、表現の自由を擁護した意義は大きいかもしれませんよね。