自殺リスクは出生順序と関連している
Suicide Risk Is Associated with Birth Order
スウェーデンにおける大規模研究の結果
出生順序の心理的影響に関する研究から、場合によっては相反する知見が数多く得られている。出生順序が早いほどうつ病、不安、さらには自殺のリスクが高い可能性を示唆する研究もある。本論文の著者Rostilaらはスウェーデン国民登録から入手したデータを用い、1932~80年に生まれた成人における各家族内の出生順序と自殺の関連を検討した。追跡は1980年から2002年まで継続された。
本データには10,656例の自殺が登録されていた。1932~55年に生まれた人に限定した成人期要因に関する副解析が実施された。解析モデルでは、年齢、婚姻状況、社会経済的状況、血縁関係内の社会経済的序列、出生時の母親の年齢(自殺との関連はあったとしてもごく弱い要因)などでさまざまな補正が行われた。すべての交絡因子で補正したモデルにおいて、第2子は第1子に比べ自殺による死亡のリスクが17%高かった。第3子と第4子以降の同リスクはそれぞれ43%と63%高かった。兄弟姉妹の出生順序は外因(事故など)による死亡とも弱い関連を示したが、心血管疾患、脳血管疾患またはがんに関連した死亡とは関連していなかった。
コメント
この研究の結果は、ノルウェーで実施された小規模の先行研究による知見を広げるものである。これらの知見は、出生順序が遅い子どもは親からあまり注意を向けられず親との愛着が弱くなり、年長の同胞からいじめを受けやすく、うつ病および衝動性に対する脆弱性が高いという説と一致する。これらの関連における機序を明らかにするにはさらに詳細な解析が必要であるが、臨床医は患者の自殺リスクを判断する際に出生順序とその影響を加味するとよいかもしれない。