日立が指静脈認証の新技術、認証のスムーズさは「自動改札機並み」

日立製作所は2014年12月8日、認証装置の前に立ちどまることなく生体認証できる「ウォークスルー型指静脈認証技術」を開発したと発表した。利用者は、歩きながら認証装置に手をかざすだけで静脈認証できる(写真1)。金融機関などのATMに設置されている従来型の静脈認証技術では、装置の前に立ち止まって特定の位置に指をかざす必要があった。今回発表した新技術では、特定の指のかざし方に限らずに認証できる。

 

写真1●日立製作所が発表した「ウォークスルー型指静脈認証技術」の試作機
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 指静脈認証は、血液中にあるヘモグロビンに吸収される性質を持つ近赤外光を、指に照射して透過した光を撮影する生体認証技術。静脈を透過した光を撮影すると、個人に特有の静脈の形状である「指静脈パターン」を抽出でき、本人を特定する。

 

写真2●日立製作所 中央研究所 情報システム研究センタの長坂晃朗主管研究員

 

 ウォークスルー型指静脈認証技術では「3D距離画像センサ」を用いて、かざした手の指の位置や角度を検出し、照射する近赤外光を調節する。決められた位置や角度で、指をかざさなくても認証できる。日立製作所 中央研究所 情報システム研究センタの長坂晃朗主管研究員は「指のかざし方に気をつかうことなく認証できる」と話す(写真2)。

 長坂主管研究員は、従来型の指静脈認証技術について「装置の特定の位置に指をかざす際に時間がかかっていた」と話す。ウォークスルー型指静脈認証技術について同社が効果検証したところ、1分あたり70人を連続で認証できたという。「駅などの自動改札機並みにスムーズさを実現した」(長坂主管研究員)。

 想定する利用シーンは、コンサート会場やスタジアムといった、大型のイベント施設での入退場管理など。例えば、コンサートのチケットを、利用者がコンビニエンスストアなどで購入する際に指静脈を登録、コンサート会場では指静脈で本人確認する。2017年までの実用化を目指す。

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