経済学というものの性質について
経済学の一つの目標は、現在の経済諸状態を与えられた場合、
未来を正確に予測することである
例えば、惑星の軌道を計算するように
諸条件は複雑であり、現状では充分な近似ができない
しかし将来、複雑さを克服すれば、充分な近似ができるのかといえば、
問題が残っている
惑星の軌道が予測されたからといって、その惑星を爆破しようとしたり、軌道をずらそうと試みたりする人はいないだろう
しかし経済諸条件については、お金の損得がかかわってくる
ある予測が提出されると、それを利用する形で、金儲けしようとする
すると、最初に前提とされた諸条件が変化してしまう
つまり、予測が提出されると、その予測をも前提諸条件の一つとして扱う、別の予測が発生する
これは無限に連鎖するので、予測は確定されない
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しかしながら、充分な近似で良いという条件にして、
予測の後にさまざまなアクションが起こることも含んで、予測をするとすれば、それはそれで可能であるようにも思うのだが、その最終予測にも、またさらにアクションが加えられてしまう
しかし幅で予測すれば大丈夫ではないかと思うが、
その幅そのものを撹乱する仕方でアクションを起こすこともできる
すると経済学は経済を十分精密に予測することはできないという定理が成立する
惑星の軌道と株価の違いは大きい