“デジカメ化とSNS隆盛の狭間の時代は「撮ってどうするんだ」の時代だった。
個人サイトで趣味性の高い写真を発表する人以外の、とりあえずデジカメ買った、という人たちは新しいカメラを手に入れた興奮状態が去った後、みんな思ったに違いない「撮ってどうするんだ」。
銀塩の時代の強固な「趣味写真」(セミプロ級)の世界は、つまりこの「撮ってどうするんだ」を乗り越えた人だけが生き残った世界だった。いまよりも写真にコストがかかるので、ずっと「撮ってどうするんだ問題」はシビアだった。猛者だけが生き残るわけだ。
デジカメでフィルム・現像・プリントのコストの障壁は下がったが、「撮影の手間」というコスト(これはけっこうばかにならない)は変わらないので、いつかみんな「撮ってどうするんだ問題」にぶち当たる。そして撮らなくなる。
デジカメの性能進化が急激だった頃は、スペックの向上と作例が謳うきれいさがカンフル剤のように効いて「撮ってどうするんだ問題」の芽を摘んでいた。
だから「写真好き」といわれる人たちが「カメラ好き」でもあるのは当然なのだ。カンフル剤を効かせ続けていないと「撮ってどうするんだ問題」と向き合わなくてはならない
このやっかいな問題をSNSは取り払った。革命だ。「撮ってどうするって?UPしてシェアするんだよ!」
考えてみれば、銀塩の時代、よくもまあ発表の場所もないのに撮ってたものだ、と思う。
ただいずれ(すでにはじまっているかもしれないが)「SNSに上げてどうするんだ問題」もおこるでしょう
一方で、360°カメラやドローンによる空撮などの新たな分野のカンフル剤も登場。カンフル剤を効かせる対象が画質→アップ場所→フォーマット、という風に移行しているように思える。
いまもっともカンフル剤が強烈に効いているのは動画の世界だ。GO PROがその最たる例。とりあえずみんなGO PROほしい!って思っちゃう。
でもきっと動画でも早晩おこるだろう「撮ってどうするんだ」。
あと「カンフル剤」っていう言葉、死語っぽいよね。”