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養老孟司は「人間は物理現実なんか生きてない」とはっきり言ってますよね。「目の前の他人と自分が同じ現実を生きてるんだという話は、科学的には証明不可能。人間は脳で生きてるだけだ」って、あの人の言うことはそれに尽きるんだよ。全部脳内現実にすぎないんだと。
彼と対談したとき「だからバーチャルリアリティーなんか存在しませんよ」って言ってた。誰もがバーチャルを生きてるから、バーチャルなんて言葉を言う必要すらないんだよ。実態はなんとなくお互いに現実をすり合わせてるだけ。なぜなら、そうしないと破綻するから。自分と相手が本当に同じ現実を見てる保証なんてどこにもない、客観的な証明は不可能です。当たり前だよね。それって意識の問題だもん。
それと同じように、自分の子供時代の意識と、去年の意識と、昨日の意識と、それらは比べようがない。自分が「これが自分だ」と思い込んでいるだけなんだから、それ以外にどうやって自分のアイデンティティを保証するの? 自分の幼年期とか子供時代なんて、今の自分が想像している「過去の自分」でしかない。
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過去を変えられる、それが人間の能力です