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コアラはなぜユーカリを選んだか
コアラは、高等動物としては珍しく、きわめて偏食性の高い動物です。
ササを主食にしているパンダでさえ、与えればリンゴを食べます。
このあまりに偏食なコアラに手を焼いている世界中のコアラ飼育担当者は、コアラがユーカリだけでなく、せめてリンゴやバナナを食べて欲しいと思っていることでしょう。
なぜコアラがユーカリだけ、しかも600種類以上あるユーカリの中でほんの数種類しか食べないのか。これは大きな謎で、いまだに結論は出ていません。
コアラが食べるユーカリの種類
コアラが食べるユーカリの種類は、オーストラリア、アメリカ、日本の各国の動物園で飼料として採用している種類を集計すると46種類にものぼります。 その中で常によく食べている主食に限定しますと、わずかに3~4種類 、多くても数種類に限定されています。 東山動物園の場合では、主食はテレチコルニス、カマルドレンシス、ロブスタ、プンクタータの4種です。
主食となる種類のユーカリに共通しているのは、あまりに強い香りがなく樹液の当分含料が高いもののようです。 なかでもプンクタータは冬になると吹き出した樹液が固まって白い砂糖の結晶のようになるほどで、われわれが食べても甘く感じます。 同じ樹種であれば、新芽が赤く着色するタイプを好むようで、このことも当分含量が 高いことを予測させます。
ユーカリの栄養価
粗たんぱく質は、窒素分が高いといわれているクローバーより多く、鶏卵の3分の1以上にあたる4.6%も含んでいます。粗脂肪は普通の牛乳より高く、濃厚牛乳並の3.9%もあります。糖質等(何容性無窒素物)は22.7%もあり、でんぷん食品であるバナナに匹敵する含有量をもっています。
また全体としてはエネルギーの約70%を糖質から約15%をたんぱく質から供給されており、長寿食といわれる日本型の食生活に近い栄養バランスであるので、ユーカリ以外の植物を取る必要がなかったといえます。
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