名古屋市で機械設置業を営む永山順二さん(56)が、災害時に傷病者を搬送できるよう車いすにも変形する自転車「Q-jo(キュウジョ)」を開発した。永山さんは「自転車は小回りが利き、燃料も要らない。いつ起きるか分からない災害に備え、なるべく早く製品化したい」と意気込んでいる。
外見は市販の自転車とほぼ同じ。サドル下部とハンドル下部をつなぐ自転車の中心軸を関節のように折り曲げると、前輪と後輪が平行になって車いすの両輪に。樹脂製のかごは取り外して車いすの座席に、サドルはヘッドレストになる。
2011年6月ごろ、東日本大震災の発生翌日にがれきの間を自転車で走りながら撮影した動画をインターネットで見た。「自転車に乗っていて生存者を見つけたら、どう助ければよいか」と考え、開発を思い立った。
車いすメーカーに提案したが、色よい返事がもらえなかったため、20代から金属加工に携わる永山さんが12年8月に自ら1週間ほどかけて製作した。
今年1月には国際特許を出願。当初は姿を変えるのに工具を必要とし5分ほどかかったが、5月上旬に完成した4台目は、工具も要らず2分足らずで変形できる。永山さんは「一般家庭にも備えて役立ててほしい」と話している。