オーラルセックスの定着に伴い,性感染症起炎微生物の咽頭感染が大きな問題になっている。産業医科大学泌尿器科講師の濱砂良一氏は,第88回日本感染症学会学術講演会(6月18~20日,会長=愛媛大学大学院血液・免疫・感染症内科学教授・安川正貴氏)・第62回日本化学療法学会総会(同,会長=大分大学呼吸器・感染症内科学教授・門田淳一氏)合同学会の教育講演「性感染症の最近の話題」で,近年は性風俗従業員(CSW)だけでなく,一般女性あるいは男性においても,淋菌やクラミジアの咽頭感染がまれならず認められることを指摘。咽頭感

オーラルセックスの定着に伴い,性感染症起炎微生物の咽頭感染が大きな問題になっている。産業医科大学泌尿器科講師の濱砂良一氏は,第88回日本感染症学会学術講演会(6月18~20日,会長=愛媛大学大学院血液・免疫・感染症内科学教授・安川正貴氏)・第62回日本化学療法学会総会(同,会長=大分大学呼吸器・感染症内科学教授・門田淳一氏)合同学会の教育講演「性感染症の最近の話題」で,近年は性風俗従業員(CSW)だけでなく,一般女性あるいは男性においても,淋菌やクラミジアの咽頭感染がまれならず認められることを指摘。咽頭感染の治療に有効な抗菌薬の種類や投与法,治癒判定の方法や時期などについて明らかにしていく必要性を強調した。

 淋菌やクラミジアの咽頭感染は,海外では特にホモセクシャル男性で高率に認められる。わが国ではこれまで,CSWの咽頭感染が問題視されてきたが,一般の男女にも広がっているようだ。

 濱砂氏は,淋菌,クラミジアの咽頭感染率に関するわが国のこれまでの主な報告を紹介。CSWの咽頭感染を調べた2004年の報告によると,ヘルス嬢において淋菌が約14%,クラミジアが約7%認められていると説明した。また,子宮がん検診を受けた20歳未満の女子学生を調べた2006年の報告では,クラミジアの咽頭感染が約5%認められたとし,オーラルセックスの定着に伴い,一般女性でも咽頭感染が珍しくなくなっている可能性を示唆した。男性でも同様で,同氏が1994年以降の国内10報告をまとめたところ,男性淋菌性尿道炎患者の咽頭で淋菌が19.8%,クラミジア性尿道炎患者の咽頭でクラミジアが5.5%に認められた(表)。

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