“採用側も、学生の側も、「就活」という芝居をやっている。  葬式のマナーやミュージカルのお約束みたいなお決まりのステップを洗練させて、全員が、舞台の上で定められたセリフを上手に唱和するみたいな、不可思議な芝居が上演されている。  学生たちは、一斉に、同じひとつの揃いの衣装を身にまとい、同じようなセリフを言うことを目指している。  意識の高い学生たちは、うれしそうな自分語りをひとつの芸の域に高めようと、日夜努力を続けている。  しかも、学生さんたちは、その、どうにも白々しいアッパーマインドな定型芝居

"採用側も、学生の側も、「就活」という芝居をやっている。
 葬式のマナーやミュージカルのお約束みたいなお決まりのステップを洗練させて、全員が、舞台の上で定められたセリフを上手に唱和するみたいな、不可思議な芝居が上演されている。
 学生たちは、一斉に、同じひとつの揃いの衣装を身にまとい、同じようなセリフを言うことを目指している。
 意識の高い学生たちは、うれしそうな自分語りをひとつの芸の域に高めようと、日夜努力を続けている。
 しかも、学生さんたちは、その、どうにも白々しいアッパーマインドな定型芝居を演じながら、その貧相なセリフの中で、「個性」を演出することを求められている。
 彼らは、同じ服装で行列に並び、同じしゃべり方で志望動機を語りながら、その就活ミュージカルみたいな団体舞踏の中で、あろうことか、「自分らしさ」を期待されている。
 しかも、書き直しの許されないペン書きのエントリーシートを凡庸でありながら個性的な文言で埋めなければならない。
 なんという不毛な設定だろうか。
あの横並びの就職活動は、「横並び適性」を判定することにしか役立っていない。"

ーーーー
新卒採用の風景もずいぶん変わってしまったものだ。
どの制度でも同じだが、中途半端にアメリカ的になってみんな苦しい思いをしていると思う。