日本老年医学会の大内尉義理事長とフレイルワーキング座長の荒井秀典氏は5月13日、後期高齢者が要介護状態に陥る前に経る中間的な段階「Frailty」の日本語訳を「フレイル」とする声明を発表した。
声明によると、Frailty(フレイル)は、高齢期に生理的予備能が低下することで、要介護状態や死亡に至りやすい状態を指し、身体的問題のみならず、精神・心理的、社会的問題なども内包する概念。かねて虚弱、老衰、脆弱などと訳されていたが、いずれも「加齢に伴って不可逆的に老い衰えた状態」との印象を与え、本来Frailtyが持つ「介入で再び健常な状態に戻る(可逆性)」の概念が薄かった。関連学会と協議を重ね、今回、フレイルという用語を採用した。
学会は、医療や介護専門職、国民の間でフレイルはほとんど認知されておらず、「介護予防の大きな障壁かつ臨床現場での適切な対応を欠く」原因となっていると説明。フレイルの意義を周知することが、高齢者のQOLを向上し、介護費用の削減につながると述べている。