青年期および若年成人期の人々による医療用オピオイド乱用がメディアで大きく取り上げられているが、こうしたオピオイド乱用の根底にある動機の区別にはさほど注意が向けられていない。若年者の医療用オピオイド乱用の最も一般的な動機は、高揚感を得ることではなく疼痛緩和であることが、The Journal of Pain誌に発表された研究で示された。処方された鎮痛薬を乱用する若年者5人につき4人では、疼痛緩和のみが乱用の動機となっていた。ただし、医療用オピオイド乱用者の大半は疼痛緩和の必要性を動機として挙げていたものの、医療用オピオイド乱用者の30%、それ以外の乱用者の47%は、「高揚感を得たい」からといった疼痛緩和以外の動機も挙げていた。さらに、女性は男性に比べて過去1年間の医療用オピオイド乱用の報告率が2倍近く高かったが、各動機の頻度には性差が見られなかったことも本研究で示された。アフリカ系米国人は白人に比べて医療用オピオイド乱用率が高く、4人につき3人が疼痛緩和を動機として挙げていた。本研究で観察された人種間の差は、黒人患者における不適切な疼痛管理、コミュニケーション不足、利用可能なオピオイドの不足、不十分な処方に関係していると考えられると著者らは述べている。