“「俺はつまらない小説しか書かない。もともとそういうものしか、書く才能ないし。どうせ俺の本なんか何書いても売れやしないし。読みたくなかったら、別に無理して読む必要はない。内容のない、つまらない小説の方が、家族の絆だとか、純愛だとか、そんな現実に存在しないものをあたかもあるかのように語る連中よりまだマシだ。これからも徹底してつまらない、読んでガッカリするような無内容な小説しか書くつもりはない」――中原が捨て身で宣言した、このような一連の言葉から無縁でいられる文学者など、現代において生き延びることはできない。”