採録
"「(連合東京が、脱原発を主張する細川氏ではなく、枡添氏を支援することとなった理由として)結局、電力系の労働組合の声が大きかった、という力関係はあるのでしょうね。民主党が政権から脱落した中、自公政権にすり寄ろうという経済界の動向に労組側も同調しているという状況がありますし、それに反対する構成団体は連合から出て行けばいい、という風潮すらあります」
「都知事選での舛添氏支援は、連合東京を構成する各労組による多数決ではなく、大野博会長の決定です。構成各労組には従う義務はありません。組合員からもクレームが来ています」
連合東京が都知事選で、舛添要一氏を応援
1990年代から2000年代にかけての自民党政権による労働規制緩和こそ、労働者の権利低下、格差貧困の拡大につながったことから考えると不可解な動きだ。
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舛添氏と連合東京との会談の中で、政策についての具体的な議論は行われず、政策協定の合意文書も非公開。「連合東京の『政策・制度要求』も舛添氏に見てもらい『合意できると思う』と言ってもらった」(杉浦事務局長)というが、桝添氏は、その政策の中で、「世界一のビジネスインフラに向けた国際戦略特区の設置(妥協の無い規制緩和と人材の呼び込み)」をあげている。
この国家戦略特区とは、外国企業の呼び込みや投資を促すため、自治体レベルで大幅な規制緩和をしていくというもの。中でも問題になっているのは、雇用や労働条件に関する規制緩和だ。「解雇ルール」、「労働時間法制」、「有期雇用制度」を見直す、というもので、企業が雇う時からクビにする条件を労働者に同意させ、長時間労働・残業代未払いを許容し、5年を超えても非正規雇用の社員を正社員にしなくても良い、という案が、政府下の有識者会議で示された。
そのためメディアや野党などから「解雇特区」「ブラック企業特区」という猛批判を浴び、「解雇ルール」の対象企業は「開業5年以内のベンチャー」「従業員の3割以上が外国人の企業」に限るとし、「5年で正社員になれる権利を放棄して雇用契約を結ぶ」人も、「高度な専門的知識を有し」「比較的高収入を得ている者」と条件が厳しくなった。
だが、国家戦略特区が「解雇特区」「ブラック企業特区」とならなくなった訳ではない。国家戦略特区の方針を決める諮問委員会に、あの竹中平蔵氏が就任。同氏はウォールストリートジャーナル紙のインタビューに対し、「雇用のルールについて、条件付きでできるようになったので半歩くらい前進した。重要なのは特区の枠組みをフルに使って岩盤規制を崩していくこと」と語っている。同氏には、小泉政権の下で製造業での派遣労働を解禁させ、そのことが「年越し派遣村」に象徴されるような、非正規労働者の使い捨てが横行する事態を招いたという「実績」もある。
こうした国家戦略特区に賛同し、推進するとしている舛添氏が言う「妥協の無い規制緩和」が何を示すのか、大いに気になるところだ。また派遣村と言えば、舛添氏が厚労大臣時代、派遣村に集まった人々を「怠け者」呼ばわりしたことも忘れてはならないだろう。連合も「解雇特区」自体には反対しているのだから、舛添氏の政策や言動に関し、問いただすくらいの姿勢が欲しいものである。
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連合本部の役員には、電力総連や電機連合といった原発推進派の労組出身者が名を連ね、連合会長の古賀伸明氏も電機連合の出身。連合東京の大野会長も東電労組出身だ。これら原発推進派労組が、原発推進派の国会議員の票田となり、強力なロビー団体となってきたことは否定できない事実である。
現在も福島第一原発の事故収束作業は難航し、現場の作業員達は超高線量の放射線に曝されながら、ピンはねなどの搾取横行する労働環境、慢性的な人手不足にも悩まされている。公的資金9兆円(当然、都民からの税金も含む)が東電救済のために使われている一方、東電は環境省が立て替えている除染費用(当然、都民からの税金も含む)の支払いを拒否。"