Aaron Swartzはその後、政治団体Demand Progressを設立するなど、政治活動に足を踏み入れたようだ。冒頭のウィキペディアの記事にもあるように、2011年7月には、米国の非営利団体JSTORから大量の学術雑誌をダウンロードした疑いで逮捕された。
CNET Japan – 著名なウェブ活動家、データ窃盗の疑いで逮捕(2011/07/20 12:24)
http://japan.cnet.com/news/society/35005323/
<非営利団体Demand Progressの創設者で、著名なウェブ活動家であるAaron Swartz氏が米国時間7月19日、マサチューセッツ工科大学(MIT)と科学雑誌や学術論文のアーカイブを構築する非営利団体JSTORから、400 万点の文書を盗んだ疑いで逮捕された。The New York Timesが伝えている>。
<Demand Progressは、インターネットに悪影響を及ぼすと同団体が判断した公共政策を変えることを目的としている非営利団体だ。Boston Heraldによると、Swartz氏が有罪となった場合、最大35年の懲役と3年間の監視下での保釈が課せられるという>。
<米政府は、Swartz氏が2010年9月から2011年1月の間にMITのコンピュータ配線室に侵入し、MITのネットワークとJSTORのライブラリに不正にアクセスしたと申し立てている>。
当時、このニュースには驚いた。これはただの盗みというよりも、おそらく政治活動としての色合いが濃く、Aaron Swartzはかなり政治活動に入れ込んでいるのだろう、と私は感じた。ウィキペディアの説明文でも「Internet activist(インターネット活動家)」だと書かれているが、まさにそんな感じだろう。
昨年の10月、ライフハッカーに載った以下の記事で、Aaron Swartzの名前を見かけた。
ライフハッカー – 「怒鳴っても人間は変わらない!」史上最悪の工場を変えたシンプルな教え(2012.10.17 21:00)
http://www.lifehacker.jp/2012/10/121017fix_the.html
<誰かがミスをすると私たちは腹が立ち、怒鳴ることもあります。怒る理由はミスをした人の行動を変えたいためです。しかし、いくら怒っても彼らの行動は変わらないどころか、反抗的になることさえあります。100万人以上のメンバーが所属する非営利政治活動グループ「Demand Progress」の設立者で代表のAaron Swartz氏は、「重要なのは人間を変えることではなく、仕組み(システム)を変えること」と述べています。今回はSwartz氏が米・ゼネラルモーターズ社(以下、GM)の事例をもとに「史上最悪の工場を変えたシンプルな教え」について語ります>。
<仕組みがうまく動かない時、その中の人間に対して怒っても意味がありません。機械が動かない時、部品に対して怒るようなものだからです。もちろん、間違った部品を使っていれば、機械が動かない場合もあります。しかし、それは部品自体が悪いわけではなく、部品の使い方を間違えているだけなのです>。
<仕事がなかなかできないとき、そのことで怒鳴られても仕事をする気になるわけではありません。重要なのは、「人をどう変えるかではなく、仕組みをどう変えるか」ということなのです。必要なのは、「ミスをしても怒鳴らない」という仕組みを作ることかもしれないし、チームに新しいリーダーを引き入れることかもしれません。また、間違えたり忘れたりしないように表示やリマインドをするといった単純な仕組みがあれば十分なのかもしれません>。
失敗した人間を責めるのでなく、仕組みを変えよという内容で、すばらしい記事だ。この記事を書いたのが、あのAaron Swartzだということで、私は驚き、感銘を受けた。
Aaron Swartzは、きわめて有能であり、しばしば物議を醸すこともある人物だったようだ。インターネットの歴史に残る、すばらしい業績を残したと思う。