ツワネ原則発表のオープン・ソサエティ財団が“今世紀最悪”と声明発表

特定秘密保護法案の時はマスコミが「知る権利」「報道の権利」などの側面で騒いだ代わりに、
「米国をモデルにしたNSCを創設するために、強力な秘密保護法が必要だと繰り返し主張 」していたところの
NSCについては特段の問題もなく国会を通過成立したようで、普通に考えたら、こちらが問題の本体なのではないかと思う。
一種の目眩ましだったのだろうという論評が多い。

ーーー関連して以下を採録

013年12月6日金曜日

ツワネ原則発表のオープン・ソサエティ財団が“今世紀最悪”と声明発表

 

 ツワネ原則作成に関わってきたアメリカのオープン・ソサエティ財団が、特定秘密保護法案について声明を出し、「知る権利を厳しく規制するもので、日本にとって後退となる」「この法は、21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものである。」と、厳しく批判しています。

 NHKでも報道されています。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131206/k10013643701000.html

 このオープン・ソサエティ財団は、アメリカの元政府高官のモートン・ハルペリン氏(←かねてから同法案を批判)が上級顧問を務めています。

 国際的な批判が、止まりません。このように、転落していくかのように国際的な信用を失っていく安倍政権は、どこへ向かうのでしょうか。

 

 http://www.opensocietyfoundations.org/press-releases/japans-new-state-secrecy-law-threatens-public-accountability

 

 以下、声明の和訳を貼り付けます。

日本の特定秘密保護法によって説明責任が脅かされている

 

 ニューヨーク-オープン・ソサエティ財団は、金曜日に日本の国会において採択されようとしている特定秘密保護法について、強い懸念を表明します。

 上級法務顧問であるSandra Coliver氏は、この新法は、国家安全保障に関する公の知る権利を制限する点において、厳しい制限を設けている国際基準から大きく後退することを指摘しました。

 Justice Initiativeにおいて知る権利に関する業務を率いているColiver氏は、「日本にとって後退を意味している。」と指摘しました。

「これは、政府の説明責任を脅かすほどの秘密主義を提案するものです。」

 

 オープン・ソサエティ財団の上級顧問であり、アメリカ政府において安全保障に関する3つの要職を務めるモートン・ハルペリン氏は、「この法は、21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものです。同じく懸念すべきは、公共の関心に関する事柄は、市民社会や国際的な専門家からの広いヒアリングと相談を行っていないことです。」と述べます。

 

 国連の表現の自由に関する特別審査官であるフランク・ラ・ルー氏は、「きわめて広範かつ抽象的な事柄が秘匿されるというだけでなく、公益通報者や秘密を報道したジャーナリストに

対して深刻な脅威を与えるものである。」と表明しました。

 

 新法は、下記の内容を含んでいます。

2001年の法律によって防衛省が保持することになった「特別防衛秘密」権限を劇的に拡大するものであること。新法は、複数の抽象的で過度に広範な種類の情報-防衛、外交、「特定有害活動」、テロ防止を含む-に関する上記権限を拡大すること。

政府が秘密を指定することができる権限を与える者は、すべての閣僚と主な官僚にまで拡大されること。

機密を暴露したことに対する刑罰は、2001年の法律では最大で5年の懲役であったものが10年の懲役に拡大されること。

完全に独立した第三者機関や裁判所から、秘密の指定を見直す方策はとられていません。

加えて、

ある情報に対する公共の関心が、情報の公開による害悪に勝る場合に、その情報を公開することを許容する、「公共の関心の超越」という考え方を含んでいません。

公共の関心の擁護が含まれていません。公共の関心が高い事項を漏らした人についても、公共の関心が公開による現実の害悪よりも上回る場合には、刑罰に問われるべきではありません。

 これらのいずれの点についても、この法律は、ツワネ原則-国家の安全や情報に関する権利に関する国際的な原理であり、Justice Initiativeが起草に関わった-に反映された国際的な水準と良き慣例から大きく後退しています。

 ツワネ原則は、近代民主主義国家の法律や裁判所の判断に反映された、国際的及び国内的な法律、標準や慣例に基づいています。これは、世界中から集まった22の団体と学術センターが起草し、国家安全保障や外交の知識や経験のある者を含む500人以上の専門家に相談して作られたものです。ツワネ原則は、ヨーロッパから選出された委員会、関連する国連の特別報告官、情報を求める権利や表現の自由にかかわるアメリカやアフリカの人権団体の報告者の支持を受けています。

 ツワネ原則は、政府が機密情報を秘匿することは、正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要な限りにおいてのみ許されると指摘しています。日本の法案は、この基準に合致していません。

 安倍晋三首相は、米国をモデルにしたNSCを創設するために、強力な秘密保護法が必要だと繰り返し主張しています。

 しかし、米国の親密な同盟国のいくつかは、機密情報に指定するに際しては公共の利益を考慮し、国家機密情報の暴露に対する刑罰を最大で5年かそれ未満とし、機密指定できる省庁

を限定し、裁判所及び(又は)独立した第三者機関によって機密指定を変更できる手続きを定めています。

 「アメリカ型の機密種別は、他の国に強制されるべきでないものです。米国政府が膨大な数の情報を機密としたことは、本物の秘密を守ることを事実上不可能にしています。」Sandra Coliver氏は付け加えました。

 「安全保障を含む、国の活動に関する情報が公によく周知されたときに、国家機密は最もよく守られるのです。」

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安倍政権というのは外交的配慮をした表現では通じない、ハッキリ言ってやらないと判らない連中だ、という認識が海外で行き渡りつつある
との論評もあり、年末の靖国参拝実行でますますその方向のようだ。

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この機会に秘密というものの性質を考えてみるのも良いかもしれない
「この書類の中に、いつの、何に関する情報があるのだが、それは特別秘密である。」と表示していたら、
秘密の半分は露見していることになる。

秘密を守るには、書類に残さない、口を滑らせない、ということに尽きる。
口を滑らせたら、別の理由をつけて、事実を更に隠蔽し、その人間にはこの世界から消えていただくということになる。

公務員が自分の良心の故に機密を暴露するという場合、それを封じる方法はないだろう。
それを封じる方法があってはならない。その緊張関係が、個人の良心というものだ。
国家の利益と思想信条信仰の自由はどちらかが100%優先でいいわけではない。
ときにより情勢により変化しつつある境界線を緊張しながらいつも変更しつつ攻防する、
そのようなものだろうと思う。
硬直化すれば死ぬものだと思う。

官僚組織でも軍隊でも、最終的な現場の実行は下層担当者があたる。
自分が何をしているのか分からなければ秘密は保持されるが、自分が何をしているのかわかった場合は、
秘密の保持と良心の自由との間で緊張が生じる。
その緊張が大切な部分である。

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しかし一般に言われている危険は、そうした高尚な部分ではなく、
NSCメンバーが、私利私欲により、特別秘密指定をした場合である。
普通に考えれば、一定の時間がたったあとに、秘密解除になるのでは大変恥ずかしいことになると思うので、
特定秘密指定をするまでもなく、従来の方法で秘密を守るということになるのではないだろうか。

色々考えると意味不明な法律ではある。

外交上の密約に関しては、主にアメリカで時間が経って公表されて、日本側の国民に対する嘘がばれているという状況である。
また、ウィキリークスなどによって嘘がバレているが、それも今回の特定秘密保護法でどうにかなるものでもないたろう。

とりあえずNSCメンバーが考えて気に入らない人を、隔離してしまうとか考えたとして、
それこそ、実はそれが特定秘密でしたと、秘密をばらしていることと同じだろうと思う。