摂食障害、支えの場

 社会生活や就労が難しい摂食障害の患者が集まって雑貨の製作などを行う、全国でも珍しい支援の場が4月にも、京都市内にできる。医療関係者でつくる民間団体「SEEDきょうと」が、患者の居場所を作り孤立を防ごうと、月1回のペースでスタートし、常設化を目指す。摂食障害の患者は、ダイエットブームなどを背景に増加しているとみられるが、詳細な調査はなく、団体メンバーは「もっと社会問題として認識すべきではないか」と訴える。
 厚生労働省によると、摂食障害は拒食や過食を引き起こす精神疾患。衰弱死や自殺に至るケースも少なくない。患者数は1998年の全国推計で約2万3000人。それまでの約20年で10倍に増えたが、近年のデータは少ない。医療機関を受診しない人が相当数いるとみられ、潜在的な患者数ははるかに多いとされる。患者は女性が9割で、小中学生もいる。
 人目が気になって自宅に引きこもるなど、就職が難しい人もあり、同団体は、患者が社会とつながる場を作ろうと、精神科医や精神保健福祉士ら22人で結成した。活動には患者約10人が参加予定で、雑貨を手作りし、インターネットなどでの販売を検討。ボランティアの医療スタッフが、専門的助言を行うミーティングも合わせて行う。
 代表の野間俊一・京都大講師(精神科医)は、「摂食障害患者は増えているのに、社会的な対策は不十分だ。患者が安心でき、社会へ出る第一歩となる場にしたい」と話す。SEEDきょうとの連絡先はメール(info.kedsc@gmail.com)。ボランティアや賛助会員も募っている。
摂食障害 詳しい原因ははっきりしないが、厚生労働省は▽自己評価(自尊心)が低い▽ミスが許せない完璧主義▽家族がダイエットをしている–などさまざまな要因を挙げている。海外では、2006年にブラジル人モデルが拒食症で死亡したのを機に議論が広がり、昨年、ファッション誌「ヴォーグ」が、痩せすぎのモデルを起用しない方針を発表した。