捜査当局は共謀や秘密漏洩を調査するためにどうするか。実際いまも通信傍受をやっているわけですが、通信傍受に関して事実上の全面解禁になってきます。すごく息苦しい社会になってきますよ。
共謀ということは相談しただけで罪に問われる
秘密が漏れていなくても罪になる。
保護隔離的な発想になっている
治安維持法の保安処分の発想
「間違った考え方を持っている人は早く社会から隔離して排除して、本人も楽にしてあげるし、社会もキレイにしよう」という発想
国防、安全保障上の理由から秘密を保護しろという主張はわかります。ですが、この法案の文言では、実際は官僚の秘密独占になるんじゃないでしょうか。
極端に言えば、外務省の力が強くなる。でも外務省のなかもぐちゃぐちゃになる。警察が、外務省や防衛省、すべての役所、民間企業も含めて、人間関係から秘密、対立関係、個人のプライバシーを全部握るんです。
一番怖いのは自衛隊にどういう影響を与えるかということです。「こんな警察指導体制の下だったら、国防なんかできない」となりますよ。 具体的な例を考えてみると、例えば、三佐とか一尉ぐらいの自衛官がいて、順風満帆に出世してきているつもりだったとします。ところが適性評価で「酒癖が悪い」とか「女性トラブルがある」という理由で引っかかって、出世のラインから外れてしまったらどうなるでしょうか。「警察め、よくもやりやがったな。いつか復讐してやる」って考えますよね。
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外務官僚の発想からすると、特定秘密保護法案に関心が集中している現状は、ある意味、良かったと受け止めているはずです。特定秘密保護法は付属品ですからね。本丸の日本版NSCがすんなりといっているぞ、と思っているはずです。世間はみんな、既存の安全保障会議に「国家」っていう文字が頭につくだけだと思っているフシがありますね。
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国家高等警察は、選挙違反を取り締まるところだったのです。知能犯を相手にするから。それが「特別国家高等警察」(特高)になって、質的に大転換した。それなのに、特高をつくるときは上に「特別」という字がつくだけですよ、と言っていたのと同じ構図ですよ。 政治関係をやるんだけれども、共産主義者だけやりますからと言って特別国家高等警察にした。
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「米国という巨大なものが来たら、われわれは何も言えないんだ」というイメージですね。ところが本当は、その米国の陰に隠れて日本は相当いろんなことをやっています。今回のNSCに関しては、「日米協力があるから何もできないんだ」っていう米国に対するあきらめ感の陰で、実は日本が主体的に先制攻撃までできるようなことをやろうとしているんです。
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対米従属論は共産党のお家芸です。リベラル左派陣営のなかで、共産党と社民党の違いは、社民党は単純な対米従属論に立たないというところですよ。そこが社民党の大きな価値だと思います。「自分の頭で考える」という、戦前の労農派マルクス主義からの伝統だと思うんです。