黒澤監督の直筆ノート(1985~86年) 人間は間違いばかり起しているのに、 これだけは絶対間違いは起さないなんて どうして云えるだろう。 それも、もし間違ったらおしまいだと云うのに、 どうしてそんな事が云えるんだろう。 高い木に登って、自分のまたがってる木の枝を 一生懸命切っている阿呆に似ているね。 猿は火を使わない。 火は自分達の手に負えない事を知ってるからだ。 ところが、人間は核を使い出した。 それが、自分達の手に負えないとは考えないらしい。 火山の爆発が手に負えないのわかっているのに 原子

黒澤監督の直筆ノート(1985~86年)
人間は間違いばかり起しているのに、
これだけは絶対間違いは起さないなんて
どうして云えるだろう。
それも、もし間違ったらおしまいだと云うのに、
どうしてそんな事が云えるんだろう。
高い木に登って、自分のまたがってる木の枝を
一生懸命切っている阿呆に似ているね。
猿は火を使わない。
火は自分達の手に負えない事を知ってるからだ。
ところが、人間は核を使い出した。
それが、自分達の手に負えないとは考えないらしい。
火山の爆発が手に負えないのわかっているのに
原子力発電所の爆発ならなんとかなると思ってるのは
どうかと思うね。
「原発は安全だ」
「危険なのは操作のミスで
原発そのものに危険はない」
「絶対ミスは犯さないから問題はない」
ってぬかした奴等許せない。
原子力発電が安全だなんて云っていた奴等は、
今、どうしてやがるんだろう。
そいつ等の顔が見たいね、全く!