デジャヴ(既視感)を経験したことがあるだろうか? デジャヴは、実際には経験していないのに、経験したような感覚を持つような感覚のことだ。デジャヴの語源はフランス語だが、その意味である「すでに見たこと」という意味が英語などの言語にも転用された。
デジャヴという奇妙なこの感覚は、長い間、超常現象から神経障害までを含む原因として説明されてきた。特に、心理学や脳神経学の研究対象として注目された。
科学的には、既視感は予知や予言ではなく、記憶異常であると考えられるのが現在の一般的な科学的見解だ。
近年、より多くの科学者たちがこの現象についての研究をおこなっており、デジャヴに関して、今までになかった新しい理論のいくつかが発表されている。そして、新しい理論の多くは、デジャヴが単なる記憶異常に起因するものではないということを示唆している。
心理学の面からの新しい理論と同時に、より神秘的な説としては、「生命の旅」の中での過去の記憶と結びついているというスピリチュアルな意見もある。
しかし、いろいろな説が出る中でも、いまだにデジャヴはミステリーであり、その原因が合理的に説明されたことはない。
その中で、大変に興味をひく理論のひとつが「デジャヴがパラレルワールド(平行宇宙)の存在と関係している」という可能性に関しての説だ。
今では多くの人が知るところとなったが、私たちの存在しているこの宇宙は単一ではないという理論が存在する。数多くの宇宙が互いに平行して存在しているという説で、多元性の中での宇宙の存在は「パラレルワールド」と呼ばれている。
そして、米国の著名な物理学者ミチオ・カク博士によると、デジャヴは「異なる宇宙からの転移、あるいは(波動の)同調と関係あるかもしれない」という。
カク博士は、量子物理と超弦理論の専門家だ。
ノーベル賞学者であり、パラレルワールドを提唱した理論物理学者のスティーヴ・ワインバーグ博士の説を、カク博士は支持している。私たちの存在しているこの宇宙には同時に無数の宇宙が平行して存在しているという理論だ。
カク博士はこれを日常にたとえて以下のように説明してくれた。
「駅からあなたの家に帰るまでに、あなたは非常に数多くの違った種類の、違った周波数の電波に満ち溢れた中を歩いています。その数は無数ともいえるもので、本来ならそこから意図的に何かを選ぶこなどできない。でも、たとえば、あなたが車でラジオをつけると、その中のひとつのラジオ局から音楽が流れる」。
「そのラジオの電波は他の電波と干渉していないにも関わらず、しかし、他の無数の電場も同じ場所に存在しています。電波の持つエネルギーにもそれほどの差はないのです。選ばれたラジオ局は、ただひとつだけ(あなたが選んで)同調したものです」。
「同様に、私たちの宇宙も、私たちの一つの身体と一致するように調整されている可能性があるということです。特定の宇宙に対応するように、その宇宙の振動(波動)の中にある原子から私たちの身体は成り立っているのです」。
パラレルワールドは、それぞれの宇宙は同じ振動数で振動していないが、ひとつの宇宙と他の宇宙が「同調するとき」に、宇宙と宇宙の間で転移が発生すると理論的には考えられているという。
もちろん、デジャヴがパラレルワールドと関係しているかどうか実際のところはわからないが、カク博士は、「パラレルワールドの中で他の宇宙と同時に振動しているとき」の状態のひとつとして説明することはできるかもしれないと述べる。