青年期における自傷行為の多くが若年成人期には消失する Most Self-Harm Behavior During Adolescence Stops During Young Adulthood 先進諸国では10代の青少年の約10%において意図的な自己切傷や毒物摂取などの自傷行為が報告されているが、青年期に始まった自傷の自然経過についてはよくわかっていない。本論文の著者Moranらは、オーストラリアの地域住民から無作為抽出した青年の標本集団に対して29歳まで複数回の質問票調査および聞き取り調査を実施し

青年期における自傷行為の多くが若年成人期には消失する
Most Self-Harm Behavior During Adolescence Stops During Young Adulthood
先進諸国では10代の青少年の約10%において意図的な自己切傷や毒物摂取などの自傷行為が報告されているが、青年期に始まった自傷の自然経過についてはよくわかっていない。本論文の著者Moranらは、オーストラリアの地域住民から無作為抽出した青年の標本集団に対して29歳まで複数回の質問票調査および聞き取り調査を実施し、回答者1,802例のデータを解析した。
調査期間において、青年(14~19歳)の8.0%が自傷行為の経験があると答えた(切傷/火傷[4.6%]、毒物摂取・薬物過剰摂取[1.9%]、自己殴打[1.7%]、リクリエーション活動以外の危険行為[1.7%])。女子の10%、男子の6%が自傷行為経験者であった。成人期の調査期間(20~29歳)では、同期間に自傷行為を経験した人の割合は2.6%へと大幅に低下した。青年期に自傷行為歴のあった10例中9例では、若年成人(20~21歳)になると自傷行為が認められなかった。若年成人期に自傷行為を行ったと答えた人は、青年期にうつ症状および不安症状を有する傾向にあった。青年期または若年成人期に自殺念慮を伴う自傷行為を経験したと答えた人の割合は1%未満であった。
コメント
本研究では、青年が受けた介入について検討していないため、今回の結果から調査参加者が自然な経過として自傷行為をやめた、とみなすことはできない。本論文に関する論説においてHawtonは、自傷行為が持続すると重篤化しやすく、自殺のリスクをもたらす可能性があると指摘している。大多数の症例では精神保健の専門家へ紹介するのが妥当と思われる。
—Martin T. Stein, MD
掲載:Journal Watch Pediatrics and Adolescent Medicine December 14, 2011