統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」
統合失調症における遂行機能障害を改善するグルタミン酸を介した補助的治療として、抗酸化・抗糖化剤L-カルノシンは検討に値する可能性があることが明らかになった。米国・ピッツバーグ大学医学校のChengappa氏らが予備的な無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。Schizophr Res誌オンライン版2012年10月22日号の報告。
グルタミン酸作動性の機能障害をターゲットとすることは、統合失調症の認知障害を改善する契機となりうる。よって、グルタミン酸作動性シナプスで不十分な抗酸化防御をターゲットとすることは、ひとつの治療アプローチとなる。NMDA拮抗薬は、動物およびヒトを対象とした試験で遂行・認知機能の統制を悪化させることが示されたが、抗酸化・抗糖化機能を有するL-カルノシンには遂行および認知機能を改善する可能性があると仮定し検討を行った。
症状が安定している統合失調症75例の成人を対象とした。二重盲検法にて、補助的療法としてL-カルノシン(2g/日)を投与する群とプラセボ群に無作為化し、3ヵ月間治療した。認知機能(遂行機能障害、記憶、注意、運動速度)について、ベースラインと4、12週時点でcomputerized batteryにて評価を行った。さらに、精神病理学評価と安全性についても評価した。
主な結果は以下のとおり。
・L-カルノシン投与群はプラセボ群と比較して、セットシフティング(状況の変化に直面した際の柔軟さの指標)の実行速度が有意に速かった。
・反転反応の時間および誤認は、両群間で有意な差は認められなかった。
・戦略的なターゲット検出試験において、L-カルノシン投与群はプラセボ群と比較して、有意な有効性の改善を示し、誤反応(perseverative errors)はほとんどみられなかった。
・その他の認知機能検査で、両群間に有意な差はみられなかった。
・精神病理学的評価スコアは、安定したままであった。
・有害事象の報告は、L-カルノシン投与群(30%)が、プラセボ群(14%)より多かった。ラボ指標では忍容性の範囲内であった。