家族対家族介入は持続的な効果をもたらす Family-to-Family Intervention Yields Sustained Benefits 米国精神障害者家族会(National Alliance on Mental Illness)が提供した仲間による指導プログラムでは終了後少なくとも6ヵ月間は有益な効果が持続した。 重症精神疾患患者を抱える家族に対して同じように患者を抱える家族が主体となって行うプログラムは即時に有益な効果をもたらすことが示されているが、長期的効果を検討した研究は非常に

家族対家族介入は持続的な効果をもたらす
Family-to-Family Intervention Yields Sustained Benefits
米国精神障害者家族会(National Alliance on Mental Illness)が提供した仲間による指導プログラムでは終了後少なくとも6ヵ月間は有益な効果が持続した。
重症精神疾患患者を抱える家族に対して同じように患者を抱える家族が主体となって行うプログラムは即時に有益な効果をもたらすことが示されているが、長期的効果を検討した研究は非常に少ない。この問題を探求するため、本論文を報告した研究グループは、米国精神障害者家族会(National Alliance on Mental Illness;NAMI)が資金援助を行って提供する家族対家族(family to family;FTF)プログラムに無作為に割り付けられた参加者158例の追跡データを解析した(対照群:FTFクラスへの参加を3ヵ月延期した群)。本研究の既報によると、FTF参加者では待機リスト群(対照群)に比べ、プログラム終了後ただちに、不安、問題焦点型および情動焦点型コーピング、そして家族機能において改善が認められていた。
本研究が無料で提供した3ヵ月間のFTFプログラムは、同じような患者家族が主催する12回のクラスで構成され、主に講演、意見交換・議論、資料の配付が行われた。これらの配布物は脳の機能、治療、回復、薬物療法について参加者に学習してもらい、理解、問題解決能力、セルフケア戦略、そして支援運動を促すように作成されていた。
プログラム終了6ヵ月後の追跡調査において面接が実施された(参加率75%)。3ヵ月間のプログラムがもたらした有意な改善効果はすべて6ヵ月後も持続していた。さらに今回、精神疾患を有する家族の状態や健康について参加者の悩みおよび不満に軽減が認められた。患者家族の抑うつ度および不満度はクラス参加回数と反比例の関係を示した。
コメント
著者らは今回、家族対家族プログラムに無作為に割り付けられた参加者と待機リスト群(対照群)との比較を行っていないが、この対照群は時間経過による改善および他の医療資源の利用による同程度の改善を達成していた可能性がある。クラス参加回数が多いほど改善効果が高かったという事実は、より多くのクラスに参加した家族メンバーについて語っているのと同様に、クラス自体の効果を反映していると思われる。いずれにしても、これらの知見は、重症精神疾患患者を抱える家族に対してFTF型プログラムが有用である可能性を支持するものである。すでに、FTFクラスを卒業した家族メンバーは300,000人を超え、訓練を受け認定された10,000人を超える仲間の指導者が教育を行ってきた。臨床医は重症精神疾患患者の家族にNAMIが提供しているプログラムやサービスなどの資源を紹介することを常に検討すべきである。
—Joel Yager, MD
掲載:Journal Watch Psychiatry August 13, 2012