アパシー:神経解剖学的な関連要因を有する症候群の1つ Apathy: A Syndrome with Neuroanatomic Correlates パーキンソン病患者の画像所見はアパシーに関連する特徴的な代謝パターンを示しており、いずれ新しい治療アプローチにつながるかもしれない。 アパシー(無感情)はうつ状態とは明らかに異なる神経心理学的症候群である。症候として興味・関心や意欲の低下がみられ、悲しみを伴うことはない。本研究においてRobertらは、うつ病、認知症のいずれも合併していないパーキンソン

アパシー:神経解剖学的な関連要因を有する症候群の1つ
Apathy: A Syndrome with Neuroanatomic Correlates
パーキンソン病患者の画像所見はアパシーに関連する特徴的な代謝パターンを示しており、いずれ新しい治療アプローチにつながるかもしれない。
アパシー(無感情)はうつ状態とは明らかに異なる神経心理学的症候群である。症候として興味・関心や意欲の低下がみられ、悲しみを伴うことはない。本研究においてRobertらは、うつ病、認知症のいずれも合併していないパーキンソン病(PD)患者45例を対象にPETを用いてアパシーと解剖学的指標の関連を検討した。対象患者の全員に視床下核を標的とする脳深部刺激療法が勧められていた。画像解析データとアパシー尺度スコアとの相関性が調べられた。
アパシーの臨床的基準に合致した患者は8例(17.8%)のみであった。アパシースコアは右下・中前頭回、右楔部、左前部島皮質の代謝活性と正の相関を示した。小脳の複数の領域において代謝活性とアパシーのあいだに負の相関が認められた。
コメント
これらの脳領域は報酬および認知に関与していると考えられている。研究者らは今回、アパシーに関与しているとされる線条体の代謝活性とアパシーのあいだに関連を見出せなかった、と本論文の論説は指摘している。アパシーは神経基盤をもつ症候群であり、ドーパミン作動薬による治療に反応する可能性がある(JW Psychiatry May 10 2010)。DSM-IVにはこの症候群が記載されているが(一般的な病状に起因する人格変化、アパシー型)、現在提案されている改訂版のDSM-5では削除されており、この症候群の識別と治療を妨げることになるであろう。
—Jonathan Silver, MD
掲載:Journal Watch Psychiatry September 17, 2012