統合失調症における統合感の重要性
Importance of One's "Sense of Coherence" in Schizophrenia
統合失調症患者において世界を「理解可能」「有意義」「対処可能」な存在として感じることは、良好な生活の質(QOL)を予測する。
精神病の予後予測に有用な臨床的特徴を特定すれば、患者、家族、医療者の助けとなる。家族に対する心理教育的介入を開発する過程で、本論文の著者Gassmannらはドイツにおいて統合失調症患者46例の統合感(Sense of Coherence)——世界を「理解可能」「有意義」「予測可能」「対処可能」な存在として認識する能力とされる——を評価した。
統合感スコアの高値は自己評価に基づく生活の質(QOL)スコアの高値、低い入院率、そしてPositive and Negative Symptom Scale(PANSS)による精神症状全般(総スコア)の低下傾向と関連していた。
研究者らは次に予備的試験を実施し、その中で25例の統合失調症患者が通常治療を家族心理教育的介入により強化する治療を選択した。10回のグループセッションが行われ、統合失調症および一般的な治療と危機介入対策に関する情報の提供に加えて、積極的傾聴、適切な要求、他のコミュニケーション技法、問題解決、ストレス対処法の訓練が行われた。通常治療のみを選択した患者21例と比較し、介入群の患者では自己評価によるQOLスコアの改善が大きかった。これらの変化は試験開始時の統合感スコアが高い患者においてもっとも顕著であった。全体で、患者の統合感がQOLスコアに与える影響は介入による影響よりもはるかに大きかった。
コメント
本研究は規模が小さいため、再現試験や拡大試験を今後行い、これらの統合感スコアが定型的な陽性症状、陰性症状、解体症状により影響されているのかを明らかにする必要がある。患者が自らの人生を「理解可能」「有意義」「予測可能」「対処可能」とどれくらい感じているのかについて話し合うことで、患者が主治医との出会いや臨床評価を促進している可能性もある。
—Joel Yager, MD
掲載:Journal Watch Psychiatry February 11, 2013