米国・ザッカーヒルサイド病院のMichael L. Birnbaum氏らは、若年者の注意欠陥多動性障害(ADHD)における抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。その結果、若年ADHDの約1割で抗精神病薬が投与されていること、抗精神病薬による治療を受けている若年者の約3割にADHDがみられる状況を報告した。Current Psychiatry Reports誌2013年8月号の掲載報告。  若年ADHDへの抗精神病薬の処方について懸念が高まっているが、利用可

米国・ザッカーヒルサイド病院のMichael L. Birnbaum氏らは、若年者の注意欠陥多動性障害(ADHD)における抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。その結果、若年ADHDの約1割で抗精神病薬が投与されていること、抗精神病薬による治療を受けている若年者の約3割にADHDがみられる状況を報告した。Current Psychiatry Reports誌2013年8月号の掲載報告。
 若年ADHDへの抗精神病薬の処方について懸念が高まっているが、利用可能なデータベースは個々の試験に限られている。そこで、全体的な頻度と経年的な傾向を明らかにすることを目的に、若年ADHDにおける抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。
 主な結果は以下のとおり。
・ヒットした1,806件の試験のうち21件で、以下の3つの集団解析データの報告を含んでいた。
1)抗精神病薬による治療を受けている若年者( 15件、34万1,586例)
2)若年ADHD(9件、619万2,368例)
3)一般の若年者(5件、1,428万4,916例)
・抗精神病薬による治療を受けている若年者の30.5±18.5%がADHDを有していた。その割合は、1998年から2007年の間に21.7±7.1%から27.7 ±7.7%(比= 1.3±0.4)へと増加していることが長期試験で示された。
・若年ADHDの11.5±17.5%が抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1998年から2006年の間に5.5±2.6%から11.4±6.7%(比= 2.1±0.6)へと増加していることが長期試験で示された。
・一般の若年者の0.12±0.07%でADHDが確認され、抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1993年から2007年の間に0.13±0.09%から0.44±0.49%(比= 3.1±2.2)へと増加していることが長期試験で示された。
・以上の知見より、抗精神病薬は臨床的に重要かつ大勢の若年ADHDに使用されていることが示唆された。処方の理由およびリスク対ベネフィットに関するエビデンスが少ないため、さらなる検討が望まれる。