ゲームや電子メールなどに夢中になりすぎてやめられず、インターネットへの依存が強いとみられる中高生は全国に約51万8000人いるという推計数を、厚生労働省研究班(主任研究者=大井田隆日本大教授)が1日、発表した。
中高生へのアンケート調査から割り出したもので、依存が強いほど睡眠に悪影響が出る実態も浮き彫りになった。研究班は「利用時間を区切るなど、夢中になる前の指導が大切」としている。
研究班は昨年10月~今年3月、無作為抽出した中高計264校約14万人にネットの利用状況を問う調査票を配り、179校約10万人から回答を得た。
「ネットを制限しイライラしたことがあるか」「不安や落ち込みから逃れるためにネットを使うか」など八つの質問のうち、五つ以上に「はい」と答えた依存の強い中学生は6・0%、高校生は9・4%いた。全国の中高生数(約680万人)から推計すると、中学生約21万3000人、高校生約30万5000人が依存が強いとみられる。
依存の強い中高生は、59%が「睡眠の質が非常に悪い」「かなり悪い」、23%が「夜、眠りにつきにくいことが常にあった」「しばしばあった」と答えた。画面の明るさから夜に目がさえ、昼と夜の生活が逆転するとみられる。食事が不規則になり栄養障害が出たり、歩かないために骨がもろくなったりする弊害もあるという。
研究班の一員で、専門外来を開設する国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「生徒が遅刻したり授業中に居眠りをしたりするようになると注意が必要。ネットに依存する生徒がすぐにカウンセリングを受けられる仕組み作りも必要だ」と話す。
◆ネット依存を調べる8つの質問
・ネットに夢中と感じるか
・ネットを使う時間を長くしなければならないか
・ネットをやめようとして失敗したことはあるか
・ネットを制限しイライラしたことがあるか
・意図したより長時間ネットを使うか
・ネットのため人間関係や学校の活動を台無しにしたことがあるか
・ネットへの熱中を隠すため周囲にうそをついたことがあるか
・不安や落ち込みから逃れるためにネットを使うか
※研究班の調査票を基に作成。5問以上に「はい」と答えると「依存が強い」とされる。