(1)日差しが特別に強い昼下がりなどは、特別な用事がない限りなるべく外出を控える、(2)頭や首が熱くなったら、適切なタイミングで保冷剤や水に濡らしたタオルを巻いて適度に冷やす、(3)汗をかくと体の塩分を失うため、スポーツドリンクや食塩・砂糖を水に溶かしてつくった自家製の経口補水液などを常備し、こまめに水分を補給する、(4)就寝中も熱中症にかかる恐れがあるため、熱帯夜にはエアコンをつけ、室内温度を28度以下に保つ
現代人と同じく「千年猛暑」に苦しんだと思しき鎌倉時代の随筆家・吉田兼好(兼好法師)
平安時代以来の「千年猛暑」
日本の夏は相変わらず暑い。昨年より早い梅雨明けを迎えた関東甲信越地方をはじめ、7月上旬からの数日間に、日本列島各地は気温35度以上の猛暑日となった。8日には山梨県甲州市で、最高気温38.6度を記録している。
総務省消防庁が7月17日に発表した集計によると、7月8~14日の1週間に熱中症で救急搬送された人は、高齢者を中心に1万913人に上り、そのうち16人が死亡したという。搬送者は、集計が始まった2008年以降で最多だった。
その後、7月中旬から続いたゲリラ豪雨によって、直近では一旦猛暑が落ち着いた観もある。しかし、日が照っているときは言うに及ばず、曇りの日でもアスファルトの地熱にじわじわと身体を温められ、通勤途中に滝のような汗をかくこともしばしばだ。気象庁は3ヵ月予報で、「8月は見込みよりも暑くなる」と上方修正した。これについては「あてにならない」という意見がある一方、専門家の中には「2013年は世界中で記録的な猛暑が訪れる」と唱える者もいる。我々は、再びあの「殺人熱波」に襲われるのだろうか。
世界的に見ても、有史以来最も気温が高かったのは、西暦1000年頃(800年~1300年頃)と言われており、気象学の世界では「中世温暖期」と呼ばれている。北極海は今より海氷が少なく、ヨーロッパではこの時期、バイキングが凍結していない海を渡ってグリーンランドに入植するなど、より北方へ領土を広げたことが知られている。現在は陸氷に覆われているグリーンランドも緑の大地だったと言われ、氷の下からはワインづくりの道具なども発見されているという。
日本でも、平安時代から鎌倉時代にかけて、やはり気温が高かったと思しき記録が残っている。『気候の語る日本の歴史』(山本武夫著)には、宮中(京都)で花見が行われた日時から、気温がかなり高かったのではないかとの論証がある。
近年の日本の猛暑は、地球温暖化のような気候変動よりも、むしろ人為的な要因や都市構造の変化によるところが大きいようだ。都市部の地面は土の地面と違い、アスファルトに覆われているため、水蒸気がすぐに乾いてしまい、ずっと暑い状態が続く。また、エアコンの室外機などにより、そこかしこから人工的な熱が噴出する。海風も高層ビルに遮られ、内陸まで届かない。こうして「ヒートアイランド現象」が年々深刻化していく
「地表の温度が横ばいになっている反面、海面下700メートルくらいの温度はむしろ上がっているそうです。原因は、大気の温度を海が吸収している