上の図のMCは生産拡大の時期、CM'はそれが金融化してグローバルに拡大する時期だ。つまり最初は植民地支配や商業で利鞘を得ていた「長い16世紀」の資本主義が、金融資本主義になった末に利潤率(金利)が低下し、次の製造業で利潤を得る産業資本主義に覇権を奪われる・・・という循環で資本主義のヘゲモニーが移動してきたという話だ。
長い16世紀の中心だったジェノヴァでは、1619年に10年物国債の金利が1.125%という史上最低記録をつけ、それは2000年代の日本まで破られなかった。つまりデフレと低金利は、コンドラチェフ循環の終わるB局面の最後の兆候なのだ。古典的な商人資本主義だったジェノヴァはこの隘路を抜け出すことができなかったが、オランダは東インド会社でアジアから略奪することによって新たな資本蓄積を行なった。
それが行き詰まったとき、イギリスはアメリカ大陸から略奪することでオランダよりはるかに大きな富を築き、アジアまで含む「大英帝国」を建設した。しかしアメリカが独立すると新大陸から搾取できなくなり、アメリカ自身が世界の支配者になる「長い20世紀」が続いてきた。
そしてアメリカの世界支配も限界に来て金融化し、低下する金利を「金融工学」でごまかしているが、いずれ限界は来る。それに次いで登場した「21世紀システム」の中心はアジアであり、そのリーダーは日本だ・・・というのが1994年に書かれた本書のビジョンである。さすがにこれはネグリ=ハートにも批判され、『北京のアダム・スミス』ではそのリーダーを中国に変更した。
ーーーーー
というように理解するのだそうだ