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ロシア人は、素直に質問に答えない人が多い。それは、もちろん、日本人だって一ひねりをする人もいると思います。しかし、ロシア人の特徴はそういう人が多いことと、「自分が知っていることは相手も知っていて当たり前」という発想が見え隠れしていることです。
例えば、私がニジニ・ノヴゴロドに来た直後。土地勘がまったくない。乗ったバスは案内が一切流れなかったから不安になり、そのバスの切符売りのおばちゃんに「このバスは~通りに行きますか?」と聞きました。
「ほら、曲がろうとしてるんじゃない(Ну вот же, поворачивает!)」
とおばちゃんはだるそうに答えました。バスが左折しようとしているのが私にもわかる。だから何?おばちゃんの言葉は全然答えになってないから、私は頭がフル回転。そして、
「あそうか、今からまさにその~通りに入ろうとしているんですか?」とまた聞くと、
「そうですよ」と、おばちゃんは不思議そうに私を見ました。どうも、ニジニを知らない人がこの世の中にいるという発想はこの人の頭の中にはまったくないようです。
ま、タチアナは顔も言葉も普通のロシア人なんだから、現地の人に見えて当たり前。しかし、日本人のパパがへたくそ~なロシア語でしゃべっても実は同じなのです。
例えば、この前、ショッピングセンターのフードコートに行きました。
「ボルシチ、ありますか?」とパパがカウンターのお姉さんに聞くと、
「メニューは、全部こちらに書いてあります」との答えが戻ってきました。
「普通にyesかnoで答えてくれればいいのに」と思いながら、お姉さんが指しているところを見ました。確かにスープの名前が大きな字で書いてありました。しかし、とても凝ったロシア語の筆記体なので、日本人のパパにはまず読めない。
「この人にはこういう字、読めませんよ」と私が言うと、お姉さんはきょとんとしてました。
サービス精神がないと言われればそれまでですが、私には何となくもう一つの理由があるように思えてならない。つまり、自分が知っている(できる)ことを知らない(できない)人がいるなんて想像できない、という人が多いのです。
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