“ 少し長い例になるんですけれども、昨年、ある中国地方のテレビ局の仕事で、田舎で働き、暮らしたいと思っている若者たちをテーマにした番組に出演させてもらいました。その番組は、田舎暮らしをしてみたいと思っている若者たちをスタジオに呼んで、中国地方の地域活性化に取り組んでおられる自治体の担当者の方々も呼んで、お互いにディスカッションしましょうみたいな内容でした。その中で、自治体の人たちが自分たちの地域をアピールしてくださいという時間を設けられて、喋ったんですね。  そうすると、それに対して若者たちがあまりピン

少し長い例になるんですけれども、昨年、ある中国地方のテレビ局の仕事で、田舎で働き、暮らしたいと思っている若者たちをテーマにした番組に出演させてもらいました。その番組は、田舎暮らしをしてみたいと思っている若者たちをスタジオに呼んで、中国地方の地域活性化に取り組んでおられる自治体の担当者の方々も呼んで、お互いにディスカッションしましょうみたいな内容でした。その中で、自治体の人たちが自分たちの地域をアピールしてくださいという時間を設けられて、喋ったんですね。
 そうすると、それに対して若者たちがあまりピンと来ないと。「中国地方に住みたいとあまり思わないな」と言う。「なぜだろう」という話になったときに、僕が口を挟んでこういうことを申し上げたんです。
 「皆さんが今アピールされたのは、ウチにはこんな名産品があるとか、サッカーチームがあるとか、つまりこれは全部消費に関わる話ですよね。消費であれば都会でもできる。しかし都会で消費をするために、たくさんお金を稼ごうと思って大きな企業に入ると、自分の作ったものが誰の手に渡っているかも分からないし、そもそも自分が社会の役に立っているかもまったく分からない。
 そういう環境を離れて、自分の仕事がちゃんと誰かの役に立っていて、その地域で自分のした仕事が必要とされていることなんだ、自分は必要な社会のワンパーツなんだってことを認識したい。そういう考え方があるんじゃないか。だからこそ、消費ではなく、生産とか仕事というところで、どういう風に地域に関われるのか、貢献できるのか。ここが彼らの関心になっているんじゃないだろうか」
 そういう話をしたら、若者たちがウンウンとうなずいていました。