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どういうことなのかというと、アキバには、メディアが誇張して伝えている 姿に、自らを近づけようとしているみたいなところがあって、そこのところ がほかの街とは違っている感じがする、と、そういうことだ。
実際、アキバにメイドが現れ始めた頃、メイドさんたちは、ほんの限られた 地域に、ごく少数生息しているのみだった。それが、取材され、報道され、 有名になり、誇張されて記事化されているうちに、メイドは本当に増殖し、 目立つようになり、マジでアキバ中を闊歩するようになった。つまり、 この街の風景は、メディアの誇張を裏書きするカタチで、現実化している のである。
「萌えキャラ」の弾幕も、パフォーマーも同様。はじめは「ネタ」だった ものが、じきに現実化し、当初はマニアの暴走に過ぎなかった所作が、 常識化してしまっている。
今後、アキバはどうなるのだろう?
アキバは、ある時期に、そこに集まる人間の妄想を実体化する術を身に つけたのだと思う。だから、闇市からバッタ屋を経て無線街になり、家電 からパソコンに手を伸ばし、萌えフィギュアポリスにまで成長したのだと 思う。今後は、ますますタチの悪い街になって行くと思う。仕方がない よ。タチの悪い人たちがよってたかって勝手な絵を描いて行くんだから。
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