「色即是空」ですか。
えー、伝統的な言葉ですので解釈は結構あるのですが、
分かりやすく、かつ実用的な解説をしておきましょう。
たとえば現在、我々は紙幣を価値あるものと見なしていますが、
紙幣は単なる紙であり燃やせば灰へと変化するもので、
また恐慌などが起これば一瞬にしてその価値を喪失します。
何かしらの永劫不変な、変わらない価値を有しているわけではありません。
すなわち空(流転するもの、本質的価値のないもの)です。
ですが、たとえ紙幣に本質的に価値がないといっても、
我々が生きている社会は資本主義社会で、
お金に価値があるという約束事の上で生活は回っています。
ですから紙幣が今、仮に価値を持っているということもまた事実なわけです。
すなわち色(流転する中での一つの形、仮の意味合い)です。
この考え方は、「信頼」や「愛情」のようなポジティヴなものから、
「罪悪」や「暴力」といったネガティヴな概念、
あるいは「石ころ」「風」といった中立概念まで、全てに適応することができます。
この「物事には本質的価値がない、しかし仮に意味がある」ということを体得すれば、
物事に対して過剰に執着し、悩み、自分にストレスをかけてしまうことが減り、
仮の事象である物事に大して軽やかに、便利に利用する形で接していける。
……というのが概ね、日本仏教でいうところの「色即是空 空即是色」ですね。