自民党政調会長高市早苗「事故を起こした東京電力福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない。」よって原発推進する。
という発言をして、一夜たった今日、発言を全面的に取り消し、謝罪する様子がテレビで流れていた。
全面的に取り消しというのは、「事故によって死亡者が出ている状況ではない」だけではなく、
エネルギー政策全般について、自民党政調会長のこれまでの発言は全面的に取り消しということだ。
一体どうしてこんな、普通で考えたら起こり得ないことが起こっているのだろうか。
ここでも思い出すのは日本プロ野球コミッショナーの記者会見である。
「統一球の反発係数の変化については知らなかった」
「事務方が勝手にやったもので、報告もない」
「事務方がコミッショナーに報告して決めたと混乱の中で発言したが、それは間違いだった。」
というのとよく似ていて、責任者に責任も権限もないのだということがよく分かる。
お飾りである。
そして失言があると、私はお飾りだから、実質的に何も問題はないと言い張る。
よく似ているので、微笑ましい。
発言の軽いこと。
これまでのこと、全部取り消しますとはまた、大雑把な話だ。
一晩官僚からレクチャーを受けてよく理解したのだろうか。
しかしそれではこれまでは何を理解していたのだろうかか。
自民党さん役の発言がここまで軽いとすれば、
実質的に物事を決定しているのはやはり自民党ではないことになるのだろう。
まあ、だからこそ、安心というか。
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言いたかったのはそのことではなくて、原発事故で死者が一人もいなかったというあたりについてである。
「直接」の放射能被曝とか熱などによっての死者は一人もいなかったという意味らしい。
それに対して多くの人は、原発のせいで、逃げる途中で、また、避難所で、体力が衰弱し、また、精神的に追い詰められ、
多くの人間が死んでいった、そのことに目を向けないで、「直接死」が一人もいなかったから、今後も推進するのだというのは、
おかしいのではないかという論点である。
私が思うには、ビデオで見ると、明らかな大爆発が起こっていて、屋根が吹き飛んだりしているのに、
その爆風、熱、放射能で、死亡した人が一人もいないということは、
職員が全員、安全な地域に避難していたということになる。
普段自分たちが手塩にかけて養生している施設が破壊されるかどうかという時に、
あっさりと逃げられるものなのだろうか。
地震があっても、津波があっても、安全を確保できるように、日々工夫もして、訓練もしているのではないか。
それなのに、全員が逃げてしまい、一人も死ななかった。
つまり、守った人は一人もいない。皆遠くに逃げて、遠くから眺めていたということだ。
そうするしかない施設だと内部職員全員が承知していたということになる。
日頃の努力が無になるはずはない、日頃の努力を活かすためにも、保守保全に当たるという人は
「ひとりも」いなかった。だからひとりも死ななかった。
これはこれで、重大な問題を提起しているのだと思う。
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安全神話などというのであるが、
それは関係者の中でも、直接施設の中で働いていない人が抱いている、抽象的な神話だろう。
実際に現場にいる人は安全神話なんて信じていなかったので、さっさと逃げた。
それで死者は一人もいなかった。そして自民党政調会長高市早苗が自慢する。
という流れである。
あまりにも、何重にも、悲しい。
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当然死者が出ていいはずの大事故なのに死者が出ていないのは
上のような不名誉な事情があったのではないかと推定する。