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SMBC日興証券厚木支店の男性社員が認知症を患った女性(80)の弟(77)になりすまし、他社の投資信託を不正に解約させていた問題で、女性の弟が、同支店の幹部らに「姉は認知症。取引はやめてほしい」と、繰り返し訴えていたことが分かった。
これに対し、幹部らは「正常な取引だ」と主張しつづけ、契約が見直されることはなかった。金融庁は、支店幹部らの関わりについても確認を進めている。
関係者によると、男性社員は、昨年7月中旬~8月上旬、女性の弟になりすました電話で、女性が大手証券2社に保有する投資信託約5000万円分を解約させた。8月3日までに、まず証券Aから計約2500万円が女性の銀行口座に振り込まれた。同日、日興に送金され、外貨建て債券の購入に充てられた。
以前から女性の預金通帳を預かっていた弟が、2500万円もの現金が日興に移されていることに不審を抱き、同6日、日興支店に電話で「姉は認知症だ」と伝えただけでなく、その後も数日にわたり、「姉との取引はやめてほしい」と抗議した。同時に、女性が振り込め詐欺などに遭うのを防ぐ目的もあり、口座のある神奈川県内の銀行支店に「多額の資金を振り込む時などは、自分に連絡をしてほしい」と依頼したという。
同7日、今度は証券Bから解約した投資信託の資金約2500万円が、女性の銀行口座に振り込まれた。
銀行から弟のもとに「お姉さんが1人で支店に来ている」と電話があったのは同10日。弟が銀行に駆けつけると、女性は、振込用紙を持って、ロビーに1人で座っていたという。女性が手にした用紙の振込先口座の欄外には、薄い字で日興支店の口座番号が書かれ、女性はその数字の通り、番号を記入していた。
弟が女性に帰るよう促すと、銀行の外にいた日興支店の幹部が近づいてきた。弟は「姉は認知症だから、近づかないでほしい」と改めて抗議。銀行内の会議室に場所を移して話し合ったが、支店幹部は女性と一緒にいたことについて、「お姉さんを助けているだけ」と主張したという。
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