“専門的にスポーツをしている人たちを見ていると、
「ずいぶんしっかりしているなぁ」とか、
「大人っぽいなぁ」とか思ったりすることが多いです。
特に、第一線でプレイをしている選手たちには、
人生の先輩のような風格を感じることさえあります。
いままで、その理由は、
ふつうの人にはできないような濃密な経験を、
幾度もくりかえしてきたせいだと思っていました。
いまでも、それは、そうなんだとは思います。
でも、もうひとつ大きな理由があるなぁと、
あらためて感じたのです。
それは、選手としての人生には、
いつでも、あんがいすぐ近くに「選手としての終り」、
言い方を変えれば「死」があるんだということでした。
ほとんどの職業では「これから」というような年齢で、
スポーツ選手たちは、選手人生を終っています。
ケガがあったりしたら、20歳でもその幕は引かれます。
水泳や短距離走などでも、選手の寿命は短いでしょうし、
ほんの一部の競技をのぞいては、
ほとんどのスポーツ選手は、
40歳くらいまでには活躍の場を去っていきます。
華やかな活躍をしている状態にあっても、そこから、
あんまり時間もなく「死」を迎える‥‥。
こんなことを意識している会社員とか、商店主とかって、
あんまりいないと思うんですよね。
正直言って、ぼくが「残り時間はあんまりないぞ」
と意識したのって、ここ数年のことですからね。
もちろん、現役選手としてのお終いの後にも、
ひとりの人間としての人生はあるわけですが、
それは、まあ別の話ですよね。
最近、イチロー選手が所属する球団を変え、
松井選手の活躍の場所が定かでなくなり、
田口壮選手の引退が、昨日、決まりました。
ぼくの目には、働き盛りの若い人にも見えていますが、
同時に、大きな背中の先輩のようにも見えています。
それぞれに、誇り高き道が拓けますように。”