五月、田の水見回りには愛犬と一緒に歩く。
畦をこまめに歩いて見回れば、踏み固めることが出来て、
しっかりした畦になり、水漏れを防げる。
愛犬も、塗った畦から萌え出でたばかりの若草の感触を好んでいるらしく、
細い畦を喜んで先に進む。
時折振り返り、振り返り、(こっちへまっすぐでいいの?)と
自分に確認を取るように見上げる。
鍬を担ぎ、うなずく自分に愛犬は瞳を輝かせ、
大きく口を開け、ハアハアと笑っている。
彼は弾むように、踊るように先をゆく。
青い天空を、たっぷり水を張った水田が鏡のように映している。
まだ頼りなげな苗がそよ風に揺れる。
天と地の境目を我らはゆったり進む。
贅沢な朝の恒例行事だ。”
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田んぼの水を見に行くという日課には私も付き合ったことがある
気分の良い散歩だったと、記憶にある