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僕が経営者になるときに一所懸命読んだのは、もっぱら「社長失格」や「追われ者」といった、有名IT企業の社長が失脚していくドキュメンタリーだ。なにしろ失脚した本人が書いてるんだから迫力がある。
先に失敗を学んでおけば、自分が似たような状況に遭遇した時、「これはやばい」と解る。
失敗は意外とパターン化されていて、何冊もそうした本を読んでいると共通する失敗の予兆が見えてくる。
経営者ほど成功と失敗の境目がハッキリと別れる仕事は珍しいと思うけど、失敗した成功者はたいてい、ろくに本を読んでないか、本を読む習慣を喪失している。目先の成功に気を良くして、自分に自信ができ、他の人の意見など聞かなくなってしまう。
だから「失敗本」の多くは驚くほど語彙が少なく、彼らが失敗そのものからほとんど何も学んでいないという、恐るべきことまで解ってしまう。たいていの場合、怒りの矛先はトンチンカンな方向へ行っており、ああこの人はこのままではまた失敗するなと読者に確信させてしまうあたりも含めて上手い。実際、失敗本書いた人で再起した人ってほとんどいないし。
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