気分と行動と認知と対人関係

認知行動療法では気分障害のときには認知の歪みが見られることが多いので
そこを訂正したり柔軟にしたりすることを目指す
結果として気分が改善される

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この場合、認知の歪みが気分障害の「原因」であると単純に考えてよいものか問題がある

認知と気分とどちらが原因なのか
はっきりとは決められない
お互いに原因となって悪循環を形成している

あえていうなら、症状の最初の状態をミクロに観察して、認知と気分とどちらが先に変調するのか
調べる方法はある
またもっと調べやすいのは気分と認知とどちらが先に治るかであるが
もちろんそんなに簡単ではない

お互いに原因となり悪循環を形成していると言ってしまえば
難しい話は回避できてしまうが
それでは科学は進歩しない

しかし実際にはあまり細かくこだわらなくていい

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気分と行動の関係も同じで
お互いに悪循環を形成しているので
気分を変えるよりも行動を変えるほうが容易だという意見に基づいて
行動活性化の技法を用いたりする

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またさらには気分と対人関係の問題も
お互いに悪循環を形成しているので
対人関係を変えていけば気分が変わると期待して
対人関係を変化させたり柔軟にしたりする

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印象では
「「「気分–行動」–認知」–対人関係」
というように層構造になっていてそれどれの–の部分で悪循環を形成していると思われる

したがって、どのレベルの悪循環から介入するのが容易であるか
個別のケースにより考えればいいのだと思う

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