“*起きてから寝るまで,考えているのはいつも音楽のことだけ、それもこの30年間、ただそれだけだった。だから家庭もいらなかったし、例えかけがえのない愛するひとであっても、「君を幸せにします」なんてことも言えず、「ぼくは人間としての幸せな人生を生きる、だからぼくと一緒に生きてくれないか」としか言えなかった。この嘘だらけの社会の常識なんてどうでもよかった。新しい音楽を聴き続けることによってぼくは存在証明としての世界の中心となるものを求めていたし、音楽はそれを与えてくれた、それだけで充分だった。それでひとからぼくのことを欠落人間だと呼ばれたとしても一向に構わない。いまのような社会がぼくのような存在を必要としていない、そのこともよく解っているよ。”