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【7月13日 AFP】カロリー摂取の制限により活性化される長寿遺伝子「SIRT1」が、記憶力強化や脳活動の活性化にも重要な役割を果たしている可能性が高いとの報告書が、11日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。
研究は、マサチューセッツ工科大(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の神経生物学プログラム責任者Li-Huei Tsai氏の研究チームが行った。SIRT1遺伝子が作りだすタンパク質に、げっ歯類の老化プロセスを抑制する効果があることはすでに明らかになっていたが、研究チームは、この酵素(ヒトではSirtuin1)が、記憶力を強化し、脳内の神経細胞の発達を促進する効果もあることを突き止めた。
研究チームは、この発見が、アルツハイマー病や衰弱性神経疾患の治療薬の開発に役立つ可能性もあるとしている。
■SIRT1遺伝子欠損で脳機能低下
研究チームは、遺伝子操作で退行性脳障害と同様の症状を持たせたマウスで、Sirtuin1が神経細胞の寿命を延ばすことをすでに突き止めており、今回の実験では、SIRT1遺伝子を欠損させたマウスの脳の発達を観察した。
実験の結果、通常のマウスと比較して、SIRT1遺伝子を欠損させたマウスは、海馬への電気刺激に対する反応が弱かった。海馬は長期記憶と空間ナビゲーション能力に重要な役割を果たしている。また、アルツハイマー病において、脳の中で最も早くに損傷がみられる領域の1つでもある。
さらに、実験マウスは、脳活動の重要な指標である神経細胞の密度の低下がみられた。その上、記憶力テストでも、古い物体と新しい物体を区分けする能力が低下していた。
Tsai氏は、3つの記憶実験パラダイムの全てにおいて「SIRT1遺伝子を欠損させたマウスは対照マウスと比較して能力が低下していた」と説明した。
■健常者の記憶力強化にも?
また、研究では、ほかにも、遺伝子の発現を調整する特定のmircoRNAを抑制することで、SIRT1遺伝子が記憶力増強タンパク質を発現することも突き止めた。
Tsai氏は、記憶力の強化や脳機能の向上のために、健常者がSirtuin1酵素を利用する可能性が、今回の研究によりもたらされたと述べた。
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