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人はよくも悪くも大なり小なり「近くにいる人間」に影響される。特に同じ屋根の下にいる人間に受ける影響は大きい。その影響が耐えきれないと「部屋にこもる」か「家から出る」ようになる。耐えられてもこもったり出たりする人間はいるけど、「自分を守る」か「自分を作る」という違いがある。言い方を変えれば「能動的に独りになる」のと「受動的に独りになる」違いだ。
「能動的に独りになる」人間は、たとえ引きこもりであったとしても「他人に影響を与える力」が強い。一方で「受動的に独りになる」人間は、たとえ一人暮らしをしたとしても、職場や学校や仲間や彼氏・彼女や伴侶の影響を多分に受けやすい。
能動的であれ受動的であれ他人からの影響が社会においてどれだけの価値があるのか判断できる場合は、適切なパートナーなり友人なり職場なり選ぶことができる。経済面で厳しいことがあったとしても、何か目標さえ見つければ(あるいは自分で作れば)そこを乗り切ることは不可能ではない。
だが、中途半端な「情」にほだされやすい人間で、なおかつ受動的なタイプは、近くにいる人間に恵まれない限り、泥沼にハマっていく。しかも、ハマっていることに根本から気づいていない場合が多い。そういう人間を救えるのは経済的にも精神的にも余裕があって、なおかつあらゆるタイプの人間を惹き付ける常識人でないと難しいが、そんな人がいるいないはともかく、そういう人が救いの手を差し伸べる機会に遭遇する可能性は限りなく低い。
似た者同士は集まりやすいというが、裏を返せば自分がなりたい人間に近い人たちが集まるところに行って馴染めるようになれば、なりたい人間になることは実は難しくない。よほど社会性がないか知能が低いか、精神的に弱い人間でない限り。
いろんな意味で「近くにいる人間」というのは、人格形成の上でとても重要なファクターなのだ。
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