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「セミってね、自分がまさか空を飛ぶ生き物だなんて思ってないと思うんですよ」
「7年くらい土の中で過ごすわけですから、もう自分はそういう生き物だと思い込んでる」
「でもある日、突然息苦しくなるわけです」
「家族にも、“もうワシは死ぬ。あとのことは頼んだぞ”とか言って、息苦しいから地上に這い上がってみる」
「で、地上でさなぎになって死んだと思ったら」
「羽を持って生まれ変わって、そこで初めて気づくんです」
「“俺ってこんな生き物やったんや”って」
「僕はね、もしかしたら人間もそういう生き物じゃないかって思うんですよ」
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