古くから狩猟、採集で得られた動植物の油脂は灯火用、食用として世界中で使われてきました。食用油脂としての日本での記録は739年(天平11年)。正倉院文書に見られるゴマ油が最古で、唐との交流の中で渡来したものとされています。
時を経て多種多様になった食用油脂は、その原料となる素材によって植物性油脂と動物性油脂に大別され、更に常温で液状の「油」と個体の「脂(脂肪)」に分けられます。
植物性油脂は、植物種子から搾るダイズ油、ナタネ油、綿実(メンジツ)油、ゴマ油などと、植物果肉から搾るオリーブオイル(オリーブ油)、パーム油などがあり、液状が主流ですが、半固体油(パーム油)や、固体脂(ヤシ油)などもあります。
動物油脂には、牛脂(タローまたはヘット)、豚脂(ラード)、羊脂、乳脂、鶏脂など陸上動物からのものと、水生動物からの魚油(イワシ、サバ、ニシンなど)がありますが、魚油は不飽和脂肪酸を多く含み安定性に劣るため、業務用の加工油脂原料として用いられることが多いようです(水素を加えて硬化させた後、精製する)。
油糧原料から油を圧搾もしくは抽出した後(これを粗油と呼びます)、揚げ物や生食に好ましくない様々な不純物を除去し、精製します。精製工程では脱ガム(油に含まれる不純物。ネバつくことから由来)、脱酸、脱色、脱臭等が行われ、この工程を経たものを「精製油」と呼びますが、オリーブオイルやゴマ油などは独特の香りや風味を活かすため、ろ過などによる不純物の除去に留めているものが多いようです。