起伏のない人生

精神的な実質としては完全な引きこもりであるが
社会生活の外観から見れば
仕事もして納税もして過不足なく
誰からも非難されず
むしろ組織の一員として、個人の感情に関係なく黙々と働いている
そんな人達は実はたくさんいる

本質的に世界と距離を保っているので何が起こっても大して驚かない
本質的に他人ごとである

中には侵入的な試みをして嫌悪を掻き立てられる場合もあるが
その時もただひたすら退却して距離を保つ
いくらでも退却できるのでいくらでも生きていられる

わざわざ死ぬのも面倒だし
わざわざ死んだと周囲に注目されるのも煩わしいので当面は生きる

巨人ファンであり政治的には穏健なリベラルである

感動はしないしそれを書き記すこともないし誰かに話すこともない

話を聞かされれば相槌を打ちながら聞くのだが
それは感動しているのではなくて観察しているだけである

起伏のない人生もまた人生だろう