貨幣価値 TPP問題

素朴に考えると、
一年働いて、少しだけ貯金ができたとして、
そのお金の価値が、時間が立てば減少してしまうのは
なんだか理不尽な感じがしてしまう

現在はデフレだから例外であるが
資本主義の世界は概ね4%程度の経済成長、つまりインフレ傾向を内在させていて普通、というくらいだから
貨幣は、4%ずつ価値が減少する、つまり「腐る貨幣」であると言えるだろう

また為替の問題もあり、為替の変動のせいで損をしたり得をしたりするのも
納得出来ないと思う

とはいっても、現在は世界はそのようにできているのであるから、
しかたのないことだけれども
為替にも株にもインフレにも無関心でただ純朴に働いている人を考えてみて、
そのようなナイーブな人が、
自分のせいではないのに翻弄されて、損したり得したりするのは良くないことではないだろうか

損得ゲームに参加を表明した人ならば、
自分で注意して損でも得でもすればいいのだが
個人のレベルで、そこまでは注意が届かないという場合に、
損をさせて、資産を、プロのファンドなどの側に転移させてしまうのは
そもそもそのような仕掛けを許している事自体が
悪のような気がする

言ってもしかたのないことで、
各人が充分に注意深く賢くなるしかないというのは分かるけれども
納得がいかない

ある種のテクニックを理解して実行する人間とそうでない人間の間に
明らかに差が生じてしまう

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不正確な言い方かも知れないが
お金でお金を買うという変なことが行われていて
不思議な事だと思う

もちろん、将来の受け取りの権利だとか、利息の計算だとかあるのだろうが
メタ貨幣のような状況で
これは素人から搾取する構造のような気がする

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熱狂的な経済成長もないが
悪夢のような暴落もない世界がいい
江戸時代のように祖父祖母の人生をそのまま生きられると感じられる安定感があってもいい

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2012年12月の選挙ではTPPも争点の一つと挙げられているが
どの程度議論は深まっているのだろう
農協と医師会が反対している

農業が全滅します
というのが、まず一番の印象

安い米国の農産物が関税0で国内に出回るが
BSE問題、農薬、保存料、遺伝子操作作物、それら全部を米国並みの基準にしろということらしい
それが嫌なら、国として基準を作るのではなく、個人でお金を払って、安全を買えということらしい
しかしまた、安全安心な農作物ですというラベルだけで商売した例は過去に幾つもあるので
何を買ったら安全なのか、大変難しいだろう

その後よく説明を聞くと、現在日本で維持している「国民皆保険制度」も
米国保険企業の活動の邪魔になるので、制度を改めるように、国家主権を超えた権力機関からの指導が入り、
国民皆保険制度は維持できなくなり、
多分、混合診療制度に移行するだろうというのだ
概ね、現在までの医療水準については従来型の医療保険で、
未来の高度医療については米国型企業経営型医療保険で、ということになるらしい

それは、利益率の高い部分がほしいということで
企業としては儲かる判断なのだろう
また日本の財政当局も、医療費の膨張を抑制することができるのではないかということで
黙認する方向なのかもしれないと言われている
高齢者医療費について、基本部分だけは公的医療保険でカバーし、それ以外の部分については各自が
医療保険に加入するなり、実費で支払うなり、すればいいとすれば、財政問題はすっきりする

イギリスの医療保険では大変に受診しにくいものになっているのは有名な話
アメリカの医療は保険会社の支払方式にがんじがらめになっていて
疾患があったとして、支払いの条件を満たすものにのみ、支払いが許される治療だけを行う
医師はただその決まりを実行するだけ

認知行動療法を施行していいと許可が出るには条件があるし、
当然16回で治ることが条件らしい

使える薬も細かく決まっている
お金を出せば自由であるが
お金がないなら保険会社の指定通りの薬を使えということになる

同じ値段なのだから同じサービスをすればいいというのも理屈だろう
そして無駄遣いを防止するには営利企業が見張ったほうがいいというのも
考え方の一つだろう

しかし貧しい医療の現実がアメリカにあり、それと似たような制度でなければ
TPPに加入しているからには許されないとかというのであれば、
かなり困ったことだろうと思う