患者さんが語ることは多くは物語になる
その物語について、いまあなたはどう感じているのか、どう考えているのか
を話しあえば、そこでひとつのメタ化が発生している
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患者さんは事情をあれこれ語る
その中には過去の感情も語られる
過去に物語をどう理解していたかも語られる
しかし語ること自体は現在であるから
当然現在の感情や解釈が強く影響している
患者さんは無意識のうちに
何を語るべきか、何を省略すべきか、
どのような順番で語るべきか、選択している
その選択は現在の判断である
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つまり、あなたは今、どう考えてどう感じていますかと聞かなくても、
どのように話しているのか、どのように話していないのかで、現在に関してかなり多くのことを知ることができる
それを知った上で、
いま話したばかりの物語に「ついて」、話してもらう
すると、患者さんが態度の中で見せた現在と
語ろうと思って語る現在の考えと感情の間にずれが見られる
それもまた良い情報になる
ーー
多くは、隠蔽しておきたいことに関しての二重構造を呈することになる