厚生労働省がまとめた2011年の人口動態統計(概況)で、秋田県内の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は32・3で、前年比0・8ポイント減とやや改善したが、17年連続で全国ワーストだったことがわかった。自殺率と並び、本県の重要課題であるがん死亡率と出生率も、それぞれ15年連続と17年連続で全国ワーストとなり、深刻な状態が続いている実態が浮き彫りになった。
■自殺率
県内の11年の自殺者は346人で、前年より12人減少。県は昨年、仙北市の「わらび座」に自殺予防を呼びかけるミュージカル製作を依頼し、県内の3市で上演。各市町村でも保健師が高齢者宅などを巡回して予防に努めた。県健康推進課は「即効性のある政策を打ち出しにくい分野。息長く続ける必要がある」としている。
一方、自殺対策に取り組む秋田市のNPO法人「蜘蛛(くも)の糸」の佐藤久男理事長(68)は「円高で製造業が打撃を受け、雇用不安が起きている。影響を受けやすい若年層の対策は急務」と指摘。08年のリーマンショック後に若年層の自殺者が2倍に増えたことから、製造業が多い県南で相談業務に力を入れているという。
県も今秋、働く世代の自殺対策について、職場での心の健康向上を目的に事業主や幹部を対象にした講習会を行うという。
■がん死亡率
がん死亡率(人口10万人当たりのがん死亡者数)は前年より0・2ポイント減の377・1。厚労省が今年3月に発表した10年の年齢調整死亡率(人口10万人当たりの死者数)でも、本県はがんによる死亡が男性205・7人、女性94・3人と、男女とも高く、がんの部位別では、男性の胃がんが41・3人で全国トップだった。
県がん対策室は、がん検診の受診率向上で全国ワーストに歯止めをかけようと、胃、大腸、肺など五つのがん検診の受診率を、10年度の10~20%台から、今年度は50%以上に引き上げる目標を掲げ、受診を呼びかけている。
■婚姻、出生率
県内で11年に結婚したのは4058組で、10年より223組減った。婚姻率(人口1000人当たりの婚姻数)は前年比0・2ポイント減の3・8で、12年連続で全国ワーストを記録。さらに出生率(同出生数)は前年と同じ6・2で、全国ワーストが続いているが、県は10年度、少子化対策局を新設したり、結婚支援センターを設置したりした。
昨年度、同センターのマッチング事業や出会いの場の情報提供などを通じて、68人が結婚し、今年度は100人を目標にしているという。同局の鈴木和朗・少子化対策推進監は「人口減は活力を失うため喫緊の課題。息長い取り組みが必要だが、ワースト脱出に向け、少しずつ光明が見えてきた」と話している。
(記事提供:読売新聞)