フリーズドライ精子、水で戻してラット出産
読売新聞 4月10日(火)
食品や医薬品の保存に使われる真空凍結乾燥(フリーズドライ)法で5年間冷蔵した精子を使って、ラットを妊娠・出産させることに、京都大の金子武人特定講師らが成功した。
液体窒素で凍結しなくても済む簡便な保存法に結びつく成果。10日の米科学誌プロスワン電子版に発表する。
金子さんらはラットの精子に対し、DNAを安定して保存できる液体を混ぜてフリーズドライにして、ガラス容器に入れ冷蔵庫で5年間保管。その後、水で戻して卵子と受精させ、雌の子宮に戻したところ、生殖能力のある子供が生まれた。
マウスのフリーズドライ精子を使った実験では、常温保存状態で日本から米国へ6日かけて郵送した後に受精させても、正常な子供が生まれた。ただし、5か月に及ぶ常温保存後では妊娠しなかったという。
金子さんは「今後は冷蔵だけでなく、常温でも長期保存できる方法を探りたい」と話す。