スタバ本

 広告バブルの時代に、雑誌は大量の広告を吸収したが、書籍については、広告が入っていない。書籍の方が購読者の属性がよりはっきりしているから、広告の訴求率は高いはずなのである。これには出版業界の長い歴史がある。
 かつて、出版社と書店は協働して業界を築いてきた。出版社が製作した本を、取次経由で書店が販売し、販売利益を分け合う構造である。ところが、雑誌の広告収入については、流通には一切恩恵がなかった。本来なら物価の上昇に合わせて、雑誌の定価が上がることにより、流通マージンも上がるはずが、出版社に広告収入が入ることにより、雑誌の定価は逆に下がってしまい、流通マージンが低くなっていった。
 その顕著な例がリクルートの情報誌で、広告専業モデルだから、定価は0円でも利益は確保される。そうなれば流通はタダで作業し、出版社だけが利益をあげることになる。こうした状況に危機を感じた書店組合が、「雑誌は仕方ないが、書籍だけは広告入稿を認めない」と主張したのである。書籍に広告が入って、書籍の定価が下がったら、売上マージンで商いしている書店の経営は成り立たないからだ。現在では、出版社の自社広告以外は、原則的に広告は認められないような契約になっている。
 流通の危機感も分かるが、要は、広告収入を出版社だけが独占しないで、流通にも分配出来るようになれば良いのではないか、と思っていた。そうしたら、こういう手法が登場したのである。仕組みは極めてシンプルである。
スタバ本を書店・コンビニ配本で販売する。
定価を600円とすると、購読者は本書についている「ビバレッジカード」を持ってスターバックスにいくと、600円分のお好きなドリンクが飲める。
 一見しただけでは、普通のクーポン券のように見えるが、実体の構造は、かかわる人がすべてハッピーという、世界に類のない独自の構造を持っている。通常であれば、スターバックス(クライアント企業)が主体となってフリーペーパー制作なりクーポン雑誌への広告出稿という形で印刷物を発行する。ところが、スタバ本の場合は、大きな金銭的負担をクライアントはしていない。ただ、ビバレッジカードを持ってきた人に、自社製品を提供するという契約だけである。定価は600円だけど、実質的には原価の負担だけで新規顧客を誘引出来る。商品の現物提供であり、広告宣伝費という科目ではなく、通常の原価構造の中で処理出来るのである。
 これまでのフリーペーパーや雑誌掲載クーポンでは、取次・書店には、それほど多くの利益が発生しないが、スタバ本は通常の書籍なので、通常の流通マージンが確保される。流通にきっちりと企業タイアップの利益が配分されるシステムなのである。
 出版社にしてみれば、通常はそれほど販売が見込めない写真集に、定価と同じだけのメリットが加わることにより、販売増が望める。実際、スタバ本は15万部程度が販売されているようだ。特にコンビニの雑誌コーナーにはよく置かれている。スターバックスは、顧客の年齢層が上がっているので、コンビニに集まるような若い世代を顧客として誘引したいと思っているようだ。
 そして、読者は、本を買えばスターバックスでドリンクが飲めるので、どちらかがタダになった感覚になる。すべてがハッピーな構造の中でスタバ本が回転するのである。

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そういわれてみれば確かにそうで、
書籍に広告が載っていても悪くないはずなのだ。

無料の本が沢山できるはず
暦とかメモ帳とか
好きなのを無料で選べるはず